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蟹工船 (青空文庫) [本]

この間(実は年末)、小林多喜二の「蟹工船」を青空文庫で読みました。

この本はプロレタリア文学として有名ですが、読んで一番鮮明に印象に残ったのは、労働争議とか共産主義とかではなく、凄惨な環境で奴隷同然で働かされる当時の労働のあまりの過酷さです。小林多喜二は、それを自らが乗船していたかのように、臭いまで伝わって来るほどに生々しく描いています。この本が出されたのが1929年なので、僅か80年ほど前にこの描写に似た事実が実在したこと自体、ある意味戦慄すべきことだと思います。

この「蟹工船」を執筆した小林多喜二は当時26歳、その若さでの文章力には舌を巻きます。残念ながら多喜二は弱冠29歳の時に特高警察に逮捕され、その日のうちに拷問死するという、これまた壮絶な最期を遂げたそうです。そんな時代と環境に生まれなくて良かった、、というのが正直な感想でもあります。

しかし、ここ数年「蟹工船」が再び脚光を浴びていて、特に若年層の読者が多いと聞きます。このことは、「蟹工船」当時の苛烈な環境にはないにせよ、働く貧困層の増加など、いつのまにか変質してしまった今の日本の就業事情に、警鐘を鳴らしているような気がします。
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