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松重 豊「空洞のなかみ」 [本]


空洞のなかみ

空洞のなかみ

  • 作者: 松重 豊
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
  • 発売日: 2020/10/24
  • メディア: Kindle版


たまに横浜の皮膚科病院にお世話になるのですが、そこは朝一で並んでも受付から診察まで優に2時間はかかる所で、大抵受付を済ませてから近くの茶店で時間をつぶすのが常なのですが、その時に読んだのがKindleで購入したこの本、なかなか面白かったです。その日のうちに短編とエッセイを読み切ってしまい、今2回目を読んでいます。

短編もエッセイも、作者の俳優業のキャリアから生まれた興味深いものなのですが、短編の「愚者譫言」は、夏目漱石の「夢十夜」にも通じるような味があり、結構好みです。

あと、この本を読んでいると、文章が「孤独のグルメ」の井之頭五郎のモノローグのように、松重豊の語りで頭の中に聞こえてくるのは、私だけでしょうか。。まあ、それはそれで楽しいのですが。
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カミュ「ペスト」 [本]

Kindleの電子本で購入した、カミュの「ペスト」を読み終えました。

1947年発表の小説で、アルジェリアの都市オランを舞台に、ペストの流行で封鎖された都市と、そこで運命に翻弄されながら立ち向かう人々を描いた作品です。

今のコロナウィルスの流行に通じるものがあるのでは、という単純な興味から読み始めたのですが、読み応えのある、奥深い作品でした。作品に込められたメッセージを正確に理解するには、恐らく数回読み返す必要があると思いますが、1回読んで感じたのは、疫病やそれによる喪失、という不条理に対して淡々と戦いうるのは、人間が本来持っている健全なヒューマニズムではないか、という著者の思いです。

時間をかけて読み返すにつれて、この印象はまた変わるかもしれません。まだ浅い部分しか読めていないような気がします。
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「雨天炎天」とGoogle Earth [本]

 以前Kindleで購入した、村上春樹の「雨天炎天」を読み直しています。今回はGoogle Earthを使って、本に出てくる修道院の場所を追いながら読んでいるのですが、これがなかなか臨場感があっていいです。
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 「雨天炎天」の前半部はギリシャのアトス半島の修道院を巡る内容なのですが、各修道院の建屋の様子や、修道院を結ぶ海沿いや山あいを走る道がどんな道なのか、ドローンで上空から見るような感じでわかります。惜しむらくは、山々は立体的に見えるのに建屋は立体的に見えないことですが、まあこれは仕方ありません。

 ちなみに、本冒頭のアトス半島の地図をスクリーンショットで撮っておいて見れるようにしておくと、次に行く修道院の場所を探すのに便利です。
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里山資本主義 [本]

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都市部で暮らしている我々は、生活に関わる全てのものをお金で購入する、それが当たり前のことになっていますが、里山のようなある環境が整った場所であれば、炊事や暖房のエネルギーや、食物のかなりの部分を地域で自給自足でき、お金への依存度を大幅に減らした、しかもある意味豊かな生活が出来る、そんな選択肢がありうることを教えてくれる、示唆に富んだ本でした。それらの実践場所が広島の庄原や、岡山の真庭といった、実家から比較的近い場所であることも興味深かったです。

自分の今の仕事を考えるとそのような生活は無理ですが、将来機会があれば、何日かそんな生活を体験するのも悪くはないかもしれない、と思います。
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フラニーとズーイ 村上春樹訳 [本]

サリンジャーの「フラニーとズーイ」、村上春樹の新訳版が出たので、久しぶりに読んでみました。
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若いころ読んだ時は、エンディングの部分が心に余韻を残した、そんな印象があったのですが、年を取って読み返すと、若者の心の逡巡に一つの暗示的な解を与えたにせよ、この人たちは結局どこに向かって行ったんだろう?とも思ってしまいました。サリンジャーのあまりにも饒舌な喋り口は、好みが分かれるかもしれません。

私にとっては、本編より、こちらの村上春樹の特別エッセイの方が面白かったです。
http://www.shinchosha.co.jp/fz/fz_murakami.html
ご参考まで。

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永遠の0 [本]

百田尚樹のベストセラー小説、「永遠の0」を、遅まきながら文庫本で読みました。
零戦の開発経緯や戦歴、太平洋戦争関連の書物はこれまでも相当数読んできましたが、にもかかわらず(…だからこそ?)この本に引き込まれるように、読み終えました。結構分厚い本ですが、通勤電車の中でもう一度読んでしまいました。

「生きて帰りたい」という、当時の軍としてはあり得ないテーマを敢えてストーリーの中心に据えたことが、却って当時の日本の世相や戦争そのものの本質を、鮮やかに浮かび上がらせたのかもしれません。戦記のわかりやすい説明とストーリー展開の妙が相まって、読み応えのある、読後に余韻の残る、私にとってはそんな本でした。

映画のロードショーは終わってしまいましたが、映画が見たくなりました。
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最近読んだ本 [本]

最近読んだ本(…といっても、青空文庫からダウンロードして、スマホで読んだものですが)の所感です。あくまで個人的な印象ですが。。

「彼岸過迄」 夏目漱石
「行人」、「こころ」と続く後期3部作の最初の作品ですが、主人公の抱える懊悩の深さが、「行人」や「こころ」の主人公のそれに比べると、やや浅い感がありました。

「人間失格」 太宰治
・・・うーんこのテの本は、私には合わなかったようです。4分の3読んだところで、挫折しました。。

「宝島」 スティブンソン
子供の頃読んだものを久々に再読しましたが、これは理屈抜きに面白かったです。結構な長編ですが、一気に読み切ってしまいました。「ジキルとハイド」もそうですが、彼の作品には読者を強く引きずり込む「何か」(しいて言えば、ストーリー立ての面白さ)があります。

あとは、本当の文庫本で、村上春樹の「1Q84」を読んでいます。ようやく最終巻までたどりつきましたが、読了までには、まだかかりそうです。。
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ポテト・スープが大好きな猫 [本]

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この、本屋で偶然見つけた、背表紙に題名を入れるのも苦労しそうなほど薄い文庫本は、アメリカの絵本を村上春樹が翻訳したものです。ものの10分もあれば読めてしまいそうな分量ですが、中身は、テキサスっ子のおじいさんと、年取った雌猫の日常をほのぼのと描いたものです。おそらく、猫を飼っている人であれば「うんうん」と共感できるようなところもあり、村上春樹もその辺が気に入ってこの本を訳したのかな、と思います。猫好きの人にはおすすめです。
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パタゴニアを行く [本]


カラー版 パタゴニアを行く―世界でもっとも美しい大地 (中公新書)

カラー版 パタゴニアを行く―世界でもっとも美しい大地 (中公新書)

  • 作者: 野村 哲也
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2011/01
  • メディア: 単行本


南米大陸南端の地、パタゴニア。恐らく一生行くことがないであろう場所の一つですが、写真がふんだんに盛り込まれたこの新書を読むと、氷河のブルーアイス、南極ブナの紅葉、夜の湖の光り輝く星空、クジラやアザラシの楽園の様子など、そういった自然の素晴らしさ、というより底力を一度目の当たりにしてみたい、という思いにも駆られます。自分はまだまだ地球のごく一部のことしか知らない、そんなことを実感させられる本でした。

思えばこの10年間、仕事でいろんな場所-今思えば恐らく2度と行けない場所-に行かせてもらいました。そのうちブログの中で、そんな体験も紹介していきたいと思います。
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奇跡のリンゴ [本]


奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 石川 拓治
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2011/04/12
  • メディア: 文庫


絶対不可能と言われたリンゴの無農薬栽培を実現した、木村秋則さんを取材した本です。昨日から読み始めたのですが、一気に読んでしまいました。こんなに凄い人がいるんだ、と思うと同時に、現代農業(文明)に生かされている生命と、自然の生態系の中で生きている生命との、余りにも根本的な違いについて、改めて考えさせられました。

それにしても、木村さんの流儀で栽培されたリンゴ、一度でいいから食べてみたいものです。
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