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下町ロケット [本]


下町ロケット

下町ロケット

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/11/24
  • メディア: 単行本


久々に読んだ単行本が、この「下町ロケット」。元宇宙開発のエンジニアだった町工場の社長が、いろんな困難や紆余曲折を乗り越え、ロケットの重要部品を開発、搭載にこぎつける、といったストーリーです。学生の頃宇宙を目指していて、今は全く異なる業種のものづくりにかかわっている私としては、前々からこの本が気になっていて、滅多に買わない単行本を買って読んだ次第です。

ストーリーの中に展開されるいろんな場面、契約打ち切りや資金繰り、特許係争、開発や生産の現場、大企業とサプライヤの関係など、それぞれがリアルに描き込まれていて、一気に読んでしまいました。ものづくりにかかわっている人であれば、いろんな場面に共感できながら読めるのではないかと思います。エンディングも爽快で、なかなか良かったです。

ストーリー立てから、理系の人が描いたのかと思いましたが、作家の池井戸潤は元銀行員なんですね。その取材力には脱帽です。。

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コンプリート・ビートルズ [本]


コンプリート・ビートルズ リマスターCD公式ガイド

コンプリート・ビートルズ リマスターCD公式ガイド

  • 作者: ザ・ビートルズ・クラブ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2009/09/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


The Beatles Boxを購入後、Amazonで見つけたのがこの本。値段も手ごろだったので買ってみました。内容は、The Beatles Boxに収録されている各アルバムの紹介に加え、CDのリマスターにかかわったエンジニアのインタビュー等が載っているもので、どちらかというと入門者向けの本です。The Beatlesは好きなんだけど、実はRubber Soul以前のビートルズを良く知らなかった私のような人間にとっては、ちょうど良い内容でした。

The Beatlesのことは何でも知っていて、リマスター版の詳細が知りたいようなマニアの人にとっては、副題の「リマスターCD公式ガイド」と銘打っている割にはリマスター版に関する情報が多くはないので、物足りないかもしれません。。
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蟹工船 (青空文庫) [本]

この間(実は年末)、小林多喜二の「蟹工船」を青空文庫で読みました。

この本はプロレタリア文学として有名ですが、読んで一番鮮明に印象に残ったのは、労働争議とか共産主義とかではなく、凄惨な環境で奴隷同然で働かされる当時の労働のあまりの過酷さです。小林多喜二は、それを自らが乗船していたかのように、臭いまで伝わって来るほどに生々しく描いています。この本が出されたのが1929年なので、僅か80年ほど前にこの描写に似た事実が実在したこと自体、ある意味戦慄すべきことだと思います。

この「蟹工船」を執筆した小林多喜二は当時26歳、その若さでの文章力には舌を巻きます。残念ながら多喜二は弱冠29歳の時に特高警察に逮捕され、その日のうちに拷問死するという、これまた壮絶な最期を遂げたそうです。そんな時代と環境に生まれなくて良かった、、というのが正直な感想でもあります。

しかし、ここ数年「蟹工船」が再び脚光を浴びていて、特に若年層の読者が多いと聞きます。このことは、「蟹工船」当時の苛烈な環境にはないにせよ、働く貧困層の増加など、いつのまにか変質してしまった今の日本の就業事情に、警鐘を鳴らしているような気がします。
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サマセット・モーム短篇選(上)(下) [本]


モーム短篇選〈上〉 (岩波文庫)

モーム短篇選〈上〉 (岩波文庫)

  • 作者: モーム
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/09/17
  • メディア: 文庫



モーム短篇選〈下〉 (岩波文庫)

モーム短篇選〈下〉 (岩波文庫)

  • 作者: サマセット・モーム
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/11
  • メディア: 文庫


久しぶりにモームを読みましたが、稀代のストーリー・テラーと言われるだけあって、読者をぐいぐい引き込んでいく手腕は、改めて流石だと思いました。短篇の結末は、読み終わる前から予想できるもの、思いもしなかった意外な結末など様々ですが、「この結末は何を意味するのだろう…?」と考え込まされるような結末も何篇かあり、それが一番印象に残りました。
末尾の解説にあった「モームが一番描きたかったのは、人間に内在する不可解さである」の言葉が、その結末を一番良く説明するのかもしれませんが、何かそれだけではないような気もします。

大昔に読んだ長編の「人間の絆」や「月と6ペンス」も読み返してみたいですが、いかんせん、時間がないなあ。。
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「零からの栄光」 [本]

城山三郎の「零からの栄光」、実家にあった本を借りて読んでみました。
101002 零からの栄光.jpg
戦前民間機メーカーから出発した川西飛行機で、飛行機狂とも言える技術者たちが、寝食を忘れて設計に取り組む様、戦時中会社が恐ろしい勢いで膨張していく様と、戦後全てを失って生きていくために様々な分野で苦闘する様が、実に対照的に描かれています。
こういった戦前戦後の全く違う時代の中で、一貫して飛行艇作りにこだわり、それが今なお現役のUS-2として就役しているのは、改めて凄いと思います。

でも、こういった時代はもう二度とこないだろうなあ。。
残念ながら単独本としては、単行本も文庫本も絶版です。
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ハートカクテル [本]

SN3J0336.jpg実家で何の気なしに本棚を物色していると、偶然、わたせせいぞうの「ハートカクテル」全冊を見つけました。これは80年代、マンガ雑誌「モーニング」に連載されていたショートストーリーの単行本で、鈴木英人のイラストに通ずるようなポップアート的な雰囲気と、お洒落でさりげないストーリーで、当時人気を博した作品です。多分引越し時に実家に送り返したんでしょうね。
今読み返してみると、一部古さを感じるところはありますが、イラスト、ストーリーとも今でも十分愉しむことが出来ます。
随分昔に処分したものとばかり思っていたので、思わぬ収穫でした。大事に取っておこうと思います。
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パパラギ [本]


パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集 (ソフトバンク文庫 シ 11-1)

パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集 (ソフトバンク文庫 シ 11-1)

  • 作者: エーリッヒ・ショイルマン
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2009/02/18
  • メディア: 文庫



学生時代に友人から借りて読んだ本が文庫版で出ていたので、何十年振りかで読み直してみました。これはサモア諸島の酋長ツイアビが、第1次大戦の頃のヨーロッパに滞在し、当時の文明(衣食住、お金、職業、メディアなど)について語ったものです。

これを読むと、我々がいかに「文明」というバーチャルな仕組みに毒されて、自然な暮らしとはかけ離れた生活を送っているかを、改めて実感させられます。この本が世に出てから今年でちょうど90年が経ちますが、この本が鳴らす本質的な警鐘は、むしろ強まっている気がします。

・・・てなことをブログで書いていること自体が、バーチャルワールドに捕えられていることに他ならないんですが。。。あまりパソコンや携帯に依存せずに、何とか生活の中に自然さを取り入れていきたいと思います。
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江夏豊「左腕の誇り」 [本]


左腕の誇り―江夏豊自伝 (新潮文庫)

左腕の誇り―江夏豊自伝 (新潮文庫)

  • 作者: 江夏 豊
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/02/26
  • メディア: 文庫


今日もカープはマエケンで勝ちました(^_^)v。マエケンいいピッチャーになったな。
この間、江夏 豊の「左腕の誇り」を読みました。江夏といえば、カープが史上最強だった頃の抑えの切り札ですが、これを読むと、阪神~南海~広島~日ハム~西武と全キャリアを通じて、江夏は凄いピッチャーだったんだなと改めて感じされられます。本の中で「広島時代が最も幸福な時だった」と述懐しているのは、ファン冥利につきます。
…ただ、個人的にこの本の中で最も印象に残っているのは、広島時代、衣笠と高橋慶彦と江夏と福永トレーナーと4人でカラオケスナックを借り切って、夜通しアリスの歌を歌ったくだりです。想像するだけで思わずニンマリしてしまいます。。
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中島敦「李陵・山月記」 [本]


李陵・山月記 (新潮文庫)

李陵・山月記 (新潮文庫)

  • 作者: 中島 敦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/12
  • メディア: 文庫


久しぶりに中島敦を読みました。収録されている作品はいずれも中国の古典に基づくものですが、作者による登場人物の心理描写によって、作品が実に生き生きと臨場感溢れるものになっています。漢学者の家系に生まれたとはいえ、33歳の若さで夭折するまでにこれだけの文章を残した事を考えると、思わず唸ってしまいます。

おびただしい数の書物が出版されては泡のように消えていく一方で、中島敦にしろ、梶井基次郎にしろ、残した作品はごくわずかなのに、それらが何十年も延々と読み継がれていることは、すごいことだと思います。
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