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メジロ [エッセイ]

 6月の夕暮れ時、リビングの窓ガラスに何かがドンとぶつかる音がした。見ると、ベランダの床にメジロが倒れていた。ガラスには目線の高さあたりに、鴬色のメジロの羽毛が残っていた。ガラスに気づかずに誤ってぶつかったらしい。

 メジロはしばらくの間、動かなかった。足を縮め、その小さな体は時々痙攣していた。時々苦しそうに海老反りになったりした。かみさんを呼んできたが、二人ともどうしていいかわからない。野鳥を動物病院に連れてって良いものか、その辺もわからない。

 おろおろしているうちに、やがてメジロはむっくり起き上がった。
190609 メジロ.jpg
起き上がったまま、そのまましばらく動かなかった。水でも飲めば元気になるかと思い、小さなお皿に水を入れてそっと近づけてやると、警戒したのか羽ばたいてベランダの手すりまで飛び上がった。そこでもしばらくじっとしていたが、やがて飛び立って森に帰っていった。

 去年の夏、植木鉢にメジロの死骸を見つけたことがある。近くの山に上って雑木林に小さな穴を堀り、メジロを葬ってやったことを覚えている。当時はなぜそんな場所にメジロが死んでいたのかわからなかったが、おそらくそのメジロも窓ガラスにぶつかって、生憎打ち所が悪くて死んだのだろう。今回は幸い元気そうに帰っていったので、ほっとした。ただ、メジロが窓ガラスにぶつからなくても済む工夫を、何か考えないといけない。
(2019.6)
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