小蛇 [エッセイ]
一日中雨だった夏の終わりの夜、自宅のマンションに帰ってくると、オートロックのフロアの床に、細長い紐のようなものが目についた。よくよく見ると小さな蛇だった。種類まではわからないが、頭や尻尾の形から、まむしではなさそうだ。蛇はゆっくりオートロックの方に向かっていた。他の人に見つかったら、踏み殺されるのがおちだ。それも忍びないので、外に逃がそうと、持っていた傘でつついて、蛇の進行方向を変えようとした。
すると蛇は、自分に危害が加えられると勘違いしたのか、首をS字に持ち上げ、口を大きく開けて、私に向かって威嚇を始めた。尻尾まで立てて、ガラガラヘビのように細かく震わせている。こんな小さな蛇でも、威嚇の格好は大人と全く変わらない。妙に感心してしまったが、本当に飛びかかってこられても困るので、そのままにした。ほどなく蛇は、方向を変えて出口の方へ動いていった。それを見届けて中に入った。
翌朝、入り口付近のフロアを確認したが、特に蛇の死骸らしきものは見当たらなかった。山に帰ってそれなりに生きててくれれば良いが、と思う。
2015年10月 記
すると蛇は、自分に危害が加えられると勘違いしたのか、首をS字に持ち上げ、口を大きく開けて、私に向かって威嚇を始めた。尻尾まで立てて、ガラガラヘビのように細かく震わせている。こんな小さな蛇でも、威嚇の格好は大人と全く変わらない。妙に感心してしまったが、本当に飛びかかってこられても困るので、そのままにした。ほどなく蛇は、方向を変えて出口の方へ動いていった。それを見届けて中に入った。
翌朝、入り口付近のフロアを確認したが、特に蛇の死骸らしきものは見当たらなかった。山に帰ってそれなりに生きててくれれば良いが、と思う。
2015年10月 記
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