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サーフライダー [エッセイ]

 The Gran'Pa は、私にとって最も活動歴の長いバンドだった。結成は1997年で、主なレパートリーはベンチャーズ物、ギター、ベース、ドラム、キーボードの4人編成だった。当時所属していた会社のイベント等に何度か出演したが、ドラマー兼バンマスのOさんが病気で亡くなってからは、ライブ活動はほぼなくなり、内輪で3人で練習するだけのバンドとなった。

 練習は月に一度、土曜日の9時から12時の3時間、横須賀市の生涯学習センター5階の音楽室に集まって行うのが常だった。家から車で20分余り、朝の16号を下っていくと、練習場に着く。音楽室に入ると、大抵ギターのIさんとベースのNさんは先入りしていて、楽器のセッティングを始めていた。

 練習は3部構成で、最初はIさん所有のリズムボックスがドラム代わりで、そこにギター、ベース、キーボードをかぶせる形での曲を。休憩をはさんで今度は私がドラム、Iさんがベース、Nさんがギターで、Nさんのレパートリー曲を。最後に私がドラム、Iさんがギター、Nさんがベースに戻って、ベンチャーズのスタンダードナンバーを、それぞれ演奏した。

 練習のセットリストは、Nさんのレパートリー曲を除けば、毎回Iさんが決めていた。たまに新曲が入ることがあったが、10年以上演っているとほとんどの曲は馴染みの曲で、どの曲もすぐに合わせることができた。長年の月一回の練習は、生活の中の1ピースとして定着していた。

 6〜8月の夏のシーズンはベンチャーズナンバーがよく似合った。「ダイヤモンドヘッド」や「パイプライン」も良かったが、その時期の締めの曲、「サーフライダー」が私にとっては一番だった。この曲はドラムを叩いていても気持ちよかった。この曲で締めると、何だか気分がスカッとした。

 バンドの方は、2018年5月にIさんが癌で亡くなってから、活動を停止せざるを得なくなった。あれから3回目の夏を迎えるが、通勤中に聴いているプレイリストからベンチャーズ曲が流れてくると、「サーフライダー」を演っていた頃のことが懐かしく、少し切なく思い出される。何十回も演奏したのに、なぜかこの曲は、練習の録音も録画も残っていない。今思えば残念至極である。せめて、ベンチャーズのオリジナルを聴いて、当時を偲びたい。

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